山口県の改葬は全国2位。4,752件という数字の読み方(厚生労働省 衛生行政報告例 2024年度)

2024年度、山口県の改葬は4,752件。火葬件数に対する割合23.3%は全国平均10.5%の2倍超で、長崎県に次ぐ全国2位です。1霊=1件の数え方、「墓じまい17.6万件」ではない理由、背景の仮説、無縁墓と周南市の空き区画が示すもの。

制度・法律公開 2026-11-08・更新 2026-11-08・確認 2026-11-07

原田洋平

執筆原田洋平

終活コンシェルジュ/終活ガイド1級/株式会社原田屋 代表取締役

2003年から原田屋で葬儀社の業務と進物に携わり、お通夜・ご葬儀の受付や葬儀後の手続きのご説明、仏壇・墓石のご相談を山口県東部で数多く担当。いまは「しおん」で墓じまいと終活のご相談をお受けしています。

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2024年度、山口県で許可された改葬は4,752件でした。火葬件数に対する割合は23.3%で、全国平均10.5%の2倍を超え、長崎県に次いで都道府県で2番目に高い水準です(厚生労働省「衛生行政報告例」2024年度 第6表)。

この数字は「山口県で年に4,752基のお墓がしまわれた」という意味ではありません。読み方を間違えると、数字が独り歩きします。

この記事では、統計の原典(e-Statの第6表)を2026年11月7日に確かめたうえで、数字の意味、数え方、全国2位の背景として考えられること、そして周南で何が起きているかを整理します。

この記事でわかること

  • 山口県の改葬件数と、全国の中での位置
  • 「改葬176,140件=墓じまい17.6万件」ではない理由(1霊=1件)
  • 10年でどれだけ増えたか
  • 山口県が高い理由として考えられる仮説(裏付けはまだない)
  • 無縁墓の広がりと、周南市の市営墓地の空き区画が示すもの

山口県の改葬は、どのくらい多いのですか?

件数は4,752件で全国13位ですが、火葬件数20,405件に対する割合は23.3%で全国2位です。人口が2倍以上ある広島県(4,411件)より多く、福岡県(5,003件)に迫ります。

厚生労働省の衛生行政報告例は、都道府県ごとに埋葬・火葬・改葬の件数を集めた統計です。2024年度の第6表によると、全国の改葬は176,140件、火葬は1,674,639件で、改葬を火葬で割ると10.5%になります。

同じ計算を都道府県ごとにすると、1位が長崎県の32.2%(改葬6,656件、火葬20,682件)、2位が山口県の23.3%、3位が鹿児島県の22.1%、4位が沖縄県の20.5%、5位が北海道の18.7%です。

隣の広島県は11.6%、福岡県は7.7%です。山口県は、近隣と比べても際立っています。

もう一つ、山口県の4,752件のうち、墓地の管理者が行う無縁墳墓等の改葬は1件だけです。残りはほぼすべて、ご家族が自分の意思で動かした改葬です。

県内で市ごとの件数が公表されているのは、中核市として別掲される下関市の379件だけです。周南市・下松市・光市の件数は、この統計には出てきません。

「改葬176,140件」は「墓じまい17.6万件」と同じですか?

違います。改葬の許可は、原則として亡くなった方ひとりごとに数えます。1基のお墓に5人のご遺骨があれば、5件です。お墓の基数とは一致しません。

改葬には市町村長の許可が要り(墓地、埋葬等に関する法律第5条)、許可を与えるときは改葬許可証が交付されます(同法第8条)。申請書には、死亡者の氏名・本籍・死亡年月日などを書きます(同法施行規則第2条第1項)。亡くなった方ごとの記載が前提の様式です。

周南市の様式も、2人以上のときは別紙に1人ずつ書く形です。

ですから、衛生行政報告例の改葬数は「ご遺骨の移動を許可した件数」であって、「しまわれたお墓の数」ではありません。

逆に、数字に入らない動きもあります。散骨や自宅での保管へ移す場合は改葬許可が不要とされているため(厚生労働省の見解)、件数に含まれません。同じ霊園の中で合葬墓へ移す場合も、許可が要らない運用なら数えられません。

当社は、対外的には「改葬許可176,140件」と書き、「墓じまい17.6万件」とは書きません。

10年で、どれだけ増えましたか?

全国の改葬は、2014年度の83,574件から2024年度の176,140件へ、10年で約2.1倍になりました。

2014年度の数字は、厚生労働省が2016年に作成した資料「墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み」に、衛生行政報告例の数値として記載されています。2024年度の数字は、e-Statの第6表で確かめました。

山口県の過去の年度の件数は、e-Statに年度ごとの第6表があるので、順に集計して、この記事に追記していきます。

山口県は、なぜ高いのですか?(仮説)

はっきりした理由を示す公的な調査や研究は、2026年11月時点で見つかっていません。以下は当社の仮説で、どれも裏付けはこれからです。

1つ目は、子が県外に出ていることです。

山口県の人口は、1985年の1,601,627人を最後のピークに減り続け、2024年10月1日現在で1,279,601人です(山口県「令和6年山口県人口移動統計調査結果年報」)。全国の調査でも、墓じまいを考える理由の1位は「お墓が遠方にある」で52.0%です(鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」2026年、n=733)。県外に出た子が、親の代のお墓を動かす形は、山口県では珍しくありません。

2つ目は、1霊=1件の数え方の影響です。

古くからの家墓や寺院墓地が多い土地では、1基のお墓に納められているご遺骨の数が多くなります。同じ1基をしまっても、都市部の新しいお墓より件数が多く出ます。山口県の割合が高い理由の一部は、この数え方にあるのかもしれません。

3つ目は、お墓の立地です。

県内には、山の斜面の墓地や、車が入れない集落の共同墓地が多くあります。足が弱ると通えなくなり、「このままでは無縁になる」と感じる時期が早く来ます。

4つ目は、浄土真宗の門徒が多い土地柄です。

本山や寺院への納骨の習慣が、改葬の件数に含まれている可能性があります。これは特に検証が要る仮説です。

上位の長崎県・鹿児島県・沖縄県・北海道にも、人口の流出や、島や広い県土という共通点があるように見えます。ただし、それを示す資料は見つけていません。

当社は、ご相談の中で「なぜ墓じまいを考えたか」を伺い、山口県の実情として、同意を得た範囲でこの記事に積み上げていきます。

無縁墓は、どのくらい広がっていますか?

総務省が全国の市町村に行った調査では、公営墓地や納骨堂を持つ765市町村のうち58.2%(445市町村)で、無縁墳墓等が発生していました。無縁改葬や墓石の撤去に着手した市町村は6.1%にとどまります。

総務省行政評価局が2023年9月13日に公表した「墓地行政に関する調査」の結果です(書面調査は全市町村、1,231市町村が回答)。

管理する人がいなくなったお墓は、行政が勝手に処分できるものではなく、法律の手順を踏んだ無縁改葬が要ります。着手した市町村が6.1%という数字は、多くの自治体で無縁墓がそのまま残っていることを示しています。

山口県分の数値は、この調査では公表されていません。

改葬の件数が多いことと、無縁墓が増えていることは、同じ現象の表と裏です。

動かせる家族がいるお墓は改葬の件数に、いない(または動かなかった)お墓は無縁墓の件数に入ります。

周南市の市営墓地の「随時募集89区画」は、何を示していますか?

周南市は、大迫田・才ケ垰・北山・光万寺・石仏・平床の6つの市営墓地で、返還などで空いた区画を随時募集しています。2025年12月1日現在で計89区画です。空き区画が常に募集に出ているということは、返す方が実際にいるということでもあります。

内訳は、大迫田共同墓地42区画、才ケ垰共同墓地10区画、北山共同墓地1区画、光万寺墓地11区画、石仏墓地8区画、平床墓地17区画です(周南市「市営墓地の使用申請受付について(随時募集)」、2025年12月1日更新)。区画数は動くので、最新は市の環境政策課へご確認ください。

周南市の改葬の手数料は無料で、郵送でも申請できます。市営墓地を返すときは、ご遺骨を移し、区画を更地に戻してから墓地返還届を出します。手続きの詳細は周南市の墓じまいにまとめました。

この数字を、どう受け止めればいいですか?

「山口県で墓じまいを考えるのは、少数派ではない」と受け止めてください。同時に、「数字が多いから急げ」という話でもありません。

火葬4件に対して改葬が1件近くある県です。ご近所にも、親戚にも、同じことを考えている人がいます。言い出しにくさは、数字を知ると少し軽くなります。

一方で、墓じまいは家族で話し、お寺に伝え、手続きを踏んで進めるものです。順番は家族でお墓の話をする方法と改葬許可の流れに書きました。

まとめ

  • 2024年度、山口県の改葬は4,752件。火葬に対する割合23.3%は全国平均10.5%の2倍超で、長崎県(32.2%)に次ぐ全国2位。件数では13位だが、広島県より多い
  • 改葬数は亡くなった方ひとりごとに数える(1霊=1件)。「墓じまい17.6万件」ではなく「改葬許可176,140件」。散骨や自宅へ移す分は含まれない
  • 全国の改葬は2014年度83,574件から2024年度176,140件へ約2.1倍
  • 山口県が高い理由は、人口流出・1霊1件の数え方・お墓の立地・宗派の土地柄が仮説。公的な裏付けはまだない
  • 無縁墳墓等は公営墓地を持つ市町村の58.2%で発生。周南市の市営墓地は89区画が随時募集中(2025年12月1日現在)

数字の読み方で分からないことがあれば、お電話ください。0120-976-864(しおん・株式会社原田屋。24時間受け付け。出られないときは折り返します)。

お墓を拝見してから総額でお見積りします(無料)。写真で概算見積からもどうぞ。

出典

  1. 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」年度報 第6表「埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」e-Stat(公開: 2025-10-21)確認日: 2026-11-07
  2. 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律に係る行政の仕組み」(平成26年度の改葬件数83,574件を記載)(公開: 2016)確認日: 2026-11-07
  3. 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第5条・第8条 e-Gov法令検索確認日: 2026-11-07
  4. 墓地、埋葬等に関する法律施行規則(昭和23年厚生省令第24号)第2条 e-Gov法令検索確認日: 2026-11-07
  5. 総務省東北管区行政評価局 資料(厚生労働省の見解: 散骨・自宅安置へ移す場合は改葬許可が不要)(公開: 2026-01-30)確認日: 2026-11-07
  6. 周南市「改葬許可に伴う申請について」(公開: 2022-10-26)確認日: 2026-11-07
  7. 周南市「市営墓地の使用申請受付について(随時募集)」(公開: 2025-12-01)確認日: 2026-11-07
  8. 総務省行政評価局「墓地行政に関する調査-公営墓地における無縁墳墓を中心として-」結果に基づく通知(公開: 2023-09-13)確認日: 2026-11-07
  9. 山口県「令和6年山口県人口移動統計調査結果年報 山口県人口の動き」確認日: 2026-11-07
  10. 鎌倉新書「第4回 改葬・墓じまいに関する実態調査」(調査期間2026年1月16〜23日、n=733)(公開: 2026)確認日: 2026-11-07